1.資格制度創設の背景
土木設計業の法的基盤は、昭和39年に制定された建設コンサルタント登録規程とされており、登録に必要な技術者の要件は技術士で、その業務領域は極めて高度で幅広い内容となっている。
ただし、現に発注される建設コンサルタント業務の大半は工事に関する設計であり、中でも定型的な業務が多い詳細設計が大きなウェイトを占め、また、建設コンサルタント登録規程に基づく登録業者の大半はこの詳細設計を中心とした土木設計業者である。こうしたなか、土木設計を対象にした業行政、発注行政は、技術士制度を利用した建設コンサルタント一般に関する枠組みの中で措置されてきた。このため、建設コンサルタントの中核業務である定型的な土木設計業務については、いまだそこに従事する実務技術者を客観的に評価しにくい状況になっている。それがさらには、地方や中小の土木設計主体の建設コンサルタントに所属する実務技術者の就業意欲にも関わっていると考えられる。
2.資格制度創設の目的と意義
前述のような状況を背景に、土木設計領域において、設計ミスの頻発や施工を考慮しない図面の提供なども指摘され、公共工事の設計成果物の品質を十分に担保するにはどうしたらよいかが大きな課題となっている。「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の理念を追求する上でも問題であり、この問題の克服なしには土木設計業の将来展望を描けないと考えられる。
これらを踏まえると、その解決策の一つとして、実務型の土木設計技術者への措置を考える必要がある。成果品の瑕疵が事業の安全やコストに直接影響することを考えれば、その発生を減ずる方策としても尚更である。そのためには、技術士及びその補完資格であるRCCMとは別に土木設計に携わる実務技術者に一定の地位を与えることである。
建設コンサルタントは、技術士等のようなコンサルティングエンジニアだけでなく、実務型のテクニカルエンジニアの存在と責任を明確化させる必要がある。また、地方自治体などの発注のうち比較的簡易な業務などにおいてはそのテクニカルエンジニア自身が品質に責任を持って実施できることが必要である。具体的には一定の知識、技術力、経験が担保された技術者に「土木設計技士」という資格を付与する。その資格の付与にあたっては、公平性、客観性、透明性を確保するため資格検定試験を実施する。本資格検定試験制度の運用を通して、土木設計技術者に技術の取得や向上へのインセンティブを与え、建設コンサルタントにおける土木設計の技術力の向上を図ると共に、工事会社に所属する土木設計技術者においても施工や現場知識に基づく設計能力の向上を図り、総じて「品確法」の求める良質な設計成果品を生み出すことを目的とする。
3.資格を付与する技術者に求められる資質と知識
資格制度創設の背景、目的及び意義を踏まえると、「土木設計技士」に求められる資質は次のとおりと考えられる。
(1) 社会資本整備事業に従事する技術者として、基本的な知識・素養を有していること
(2) 建設コンサルタントの一翼を担う土木設計技術者として、高い倫理観を有していること
(3) 土木一般の知識及び周辺業務に関する基礎的な知識を有していること
(4) 主として詳細設計において、発注者から提示される仕様書その他の図書に従い、構造計算、
図面作成、数量計算、施工計画ができること
(5) 発注者に対し成果品に関する説明責任が果たせること